テルムドスパ

「スパ」の語源。ベルギーのスパ

 スパの中のスパ。「ベルギー スパ」。

 何度行ってみようと思ったことか!一度はベルギーの「スパ」に。やっと実現しました。ケルンの温浴展示会「アクアナーレ」を見学した後、ベルギー「スパ」をめざします この小さな街「スパ」は名前のとおり今巷にあふれているスパという言葉の語源になっているのです。ちなみの英語のお風呂「バス」はイギリスの「バース」という街がバスの語源になっているのもよく知られたことです。日本で言うと岐阜県瀬戸市が瀬戸物の語源になったような感じですね。

 スパにはベルギーの首都ブリュッセルから電車で2時間です。今回は逆方向ドイツ側のケルンから電車で入りました。こちらからだとドイツ新幹線ICEを使うと最短1時間46分で到着です。(写真1)スパ駅前には予想以上に何もありません。ただ飲料水のspaの工場だけがドーンとあります。電車を降りて荷物を引っ張りホテルへと歩いて向かいます。人里はなれたスパの街はとてもこじんまりしています。唯一有名なのは「F1グランプリ」が開かれることでしょう。しかしこの小さな街はとてもオシャレでバーデンバーデンを小さくしたような印象です。(写真2)バーデンバーデンよりももっと良い点はフランス文化が色濃いベルギーなので食事がフランス流でとても美味しいことです。ホテルは「スパ」らしく入口の両横からオシャレな滝が流れています。

スパ駅
写真1 スパ駅
スパの街並み
写真2 スパの街並み

 部屋でひと休みしてから目的の「テルムドスパ」にむかいます。ヨーロッパのテルメの最新のトレンドはいかに?今までベルギースパには大型テルメは無かったのですが数年前に本格的大型テルメが出来たのです。観光客をひきつける何か大きなランドマークが必要となってきたのはまちがいありません。だって「バーデンバーデン」や「バース」と比較されてしまいます。「スパ」という街も名前だけの過去の遺産だけでは生きていけないのでしょう。「テルムドスパ」街の中心からゴンドラに乗って山の頂上をめざします。(写真3)そう、この「テルムドスパ」は小高い丘の山頂にあるのです。ゴンドラに乗って1-2分ですぐに到着です。(写真4)

ゴンドラ
写真3 テルムドスパへと続くゴンドラ
テルムドスパ
写真4 テルムドスパ

来て良かった!

 「テルムドスパ」の建物内に到着です。階段で一つ上の階に上がると受付があります。ヨーロッパのテルメ施設のほとんどがそうであるように大きな施設なのに小さな受付です。受付で3時間18ユーロを支払いロッカー室へと進みます。真っ白なロッカー室は清潔感あふれています。(写真5)ロッカーのシステムはドイツと同じく男女兼用一方通行スタイルです。直ぐに更衣ブースがありそこで水着に着替えその先のロッカーに服を入れプール側に出て行きます。シャワーも男女一緒と個室タイプとの両方がありとても合理的です。プールに出るとそこはまた白く美しいプールの大空間が広がっています。水面積だけでおおよそ500㎡はありそうです。(写真6、7)

ロッカー内
写真5 ロッカー内の様子
館内図
写真6 館内図
屋内プール
写真7 屋内プール

 入って直ぐの小さめの円形プールはリハビリにも使える運動浴槽です。(写真8)中央にはインストラクターのお立ち台もあります。アクアヌードルを使って水中運動しています。その周りを大きく取り囲むように円形のプールがあります。ほとんどの壁に水中ジェットがありみんなジェットにあたっています。また小さな運動浴槽の外側はバイブラが有りそこに座って楽しんでいます。利用者は日曜日だったからなのか若い女性のグループやカップルが多くみんな新しいタイプのテルメに興味深々といった感じです。まだここベルギーではこうしたテルメのスタイルが定着している訳ではなくとても目新しいもののようです。

 プール左手側は休憩エリアになっていて皆美しい紅葉を見ながら休憩しています。端っこには日焼け用のソラリーンが有ります。(写真9)休憩とメインプールの間から屋外プールへの階段があり入水しながら屋外プールへと出て行きます。(写真10)

運動浴槽
写真8 運動浴槽
日焼け用ソラリーン
写真9 日焼け用のソラリーン
屋外デッキ
写真10 屋外デッキ

 屋外プール側に出ると強い水流で押し戻されそうな勢いです。屋外プールはアトラクションのオンパレードです。流水エリアバブルサークル、ワッサービルツ(水中キノコ)強力な数種類の打たせ湯、寝湯などありとあらゆるアトラクションがあり無我夢中に楽しめます。更にそうここは山頂にあり眼下にスパの市内を一望できるのです。紅葉の山あいに美しく佇むスパの街がとても印象的です。世界広し、と言えどもその街を一望できるテルメはあまりありません。自分が天空に居るかのような錯覚に陥ります。ここに来てここでしか味わえない感覚です。「来て良かった!」を実感です。

やっぱり来て良かった!

 次に2階に上がります。サウナエリアが2つ有ります。1つは水着着用もう一つは裸混浴です。ドイツ、オーストリアではサウナは裸混浴と決まったものですが国境を越えるとお国柄なのでしょう。まさに水着の国フランスと裸文化の国ドイツに挟まれた折衷的ゾーン作りとなっています。しかしロケーションは最高です。どちらのサウナの中からもさきほどのプールからの眺めと同じく眼下にスパの街が一望出来ます。それとスティームサウナがありこれはどちらも真っ暗の中に光ファイバーが星のように光っています。

 裸エリアの方にはバイブラバス温浴冷浴の交互浴のできる浴槽があります。未だベルギーでは混浴に抵抗感があるのか水着ゾーンのサウナエリアの方が賑わっています。一般的にドイツのサウナが内部完結し外部には開かれていないのに比べこのサウナは日本人が富士山を一望して温泉に入っているのと同じような演出と言えます。全面のガラスごしの景色最高です。ここでも「あー来て良かった!」です。

 この2階には更にトレーニングジム、トリートメントスパがあります「スパトリートメント」トリートメントを11時半に予約したので11時に受け付けに行きます。(写真11)ここはパリの化粧品メーカーのシスレーがオペレーションしています。受け付けで予約表を発券してもらい2階に上がります。このスパは予想以上に大きいです。1階2階合わせなんと50室以上の個室の数です。ドライのトリートメント室のみならずウエット系の部屋の充実はスゴイです。これもフランスタラソテラピーの流れを汲んでいるかのようです。「スパ」の街のイメージシンボルにもなっている銅製の浴槽の部屋、現代的なバス、ビーシーシャワーなどズラリです。(写真12、13、14)

トリートメント受付
写真11 トリートメント受付
ビーシーシャワー
写真12 ビーシーシャワー
スパのシンボル 銅の浴槽
写真13 スパのシンボル 銅の浴槽
最新式のバス
写真14 最新式のバス

 時間まで休憩エリアでコーヒーを飲みながら待ちます。トリートメントを待っている人は、映画の「男と女」に出ていた風の女性が多く、それとカップルです。そこに「日本人の男」は全く異邦人です。せめてカップルだったらなーと反省です。

 11時半が近づくと休憩に人が増え休憩エリアは人が一杯になりました。セラピストがやって来て自分の担当する人を確認していきます。僕のところに来たセラピストはジュリアさんで身長は僕よりかなり大きく180センチくらいありそうな美人さんです。やっぱり美人だと嬉しいものです。部屋に入ると直ぐに施術開始です。日本やアジアのようなもてなし的なイベントは全くありません。バスタオルで脱衣のフォローなどもありません。いきなり裸になってうつ伏せにといわれます。もちろんよくある紙ショーツもありません。これの方があっさりしていて気分いいものです。 さて施術の方ですが、ヨーロッパでの経験からするとアジア人の繊細な技術に比べて大味な印象が多いのですが今回は違いました。実に上手いのです。力加減リズミカルさ適度なスピード感もう夢心地です。 おそらくヨーロッパのふくよかでビッグな御婦人を施術するのに比べると、細めの小さな東洋人など子供を扱うようなものでしょう。施術が終わって記念に写真をと言うとニッコリ笑ってポーズしてくれました。(写真15)

セラピストのジュリアさん
写真15 セラピストのジュリアさん

スパと言えばやっぱりコレ!

 トリートメントが終わり、帰りは受付を出て1階下に下りると例のゴンドラに乗り込めるのですが、カフェでspa水を買い少し休憩します。このカフェはプール側からも利用できプールも見えます。(写真16)また外に出るとやっぱり眼下に街が一望できます。(写真17)

見晴らし
写真16 見晴らし
プールサイドカフェ
写真17 プールサイドカフェ

 このまま麓の街に帰るのが勿体なくてちょっと外に出て建物と山の景色を見てみることにして外に出ました。いやー!この建物は力入っています。円形と曲線と直線が入り交じり力強さとエレガントさを見せています。(写真18、19、20)内部の白い空間とはあまりに対照的です。スパの街が、いかにこの建物に力を入れて完成させたのかが伺いしれます紅葉の美しさと合間って素晴らしいものです。脱帽です。

 飲料水のspaを飲みながら施設を後にしました。(写真21)

外観①
写真18 外観①
外観②
写真19 外観②
外観③
写真20 外観③
スパと言えばコレ!spa水
写真21 スパと言えばコレ!spa水

著者:粟井英一郎