シュバーベンクベレン

ドイツ シュトゥットガルト郊外

 ドイツの首都は「ベルリン」、ドイツの空の玄関は「フランクフルト」ですが、ドイツブランドの代名詞、「メルセデスベンツ」、「ポルシェ」はシュトゥットガルトに本社があります。

 シュトゥットガルトはドイツにはめずらしく、周辺を山に囲まれているこじんまりとした街並みが中央にあります。中心には美術館や博物館などがならび中世と現代がマッチングした美しい街です。特にシュームズ・スターリング作の国立美術館は素晴らしいの一言です。現代的でありながら中世の建築と全く違和感なく存在しています。

 今回ご紹介する「シュバーベンクベレン」はこのシュトゥットガルト郊外にあります。

 「シュバーベンクベレン」はSIセントラムという郊外型複合商業施設内にあります。

 複合施設には、5つ星ホテル、4つ星ホテル、ミュージカル劇場、レストランモール、ショッピングモール、シネマコンプレックス、カジノ、集合住宅、そして大型温浴施設「シュバーベンクベレン」があります。全体の雰囲気はラスベガスを圧縮し、客層をエレガントにしたという感じです。やはりヨーロッパなのでどことなく社交場の雰囲気が漂います。商業施設正面には現代風城のような趣のダイムラーベンツの本社があります。

 では早速入場しましょう。

裸のインディージョーンズ

 入口は、ショッピングモール側から入ることもできますし、鉄道駅からすぐに入る入口もあります。入口横には立派な独立したログハウスの託児室があり子供を預かってくれるので、大人がゆっくり楽しむことができます。

 入口でリストバンドを受け取り、入場ゲートにタッチして中に入ります。ここはドイツではめずらしく男女別の更衣室です。更衣室に入ると30cm角くらい のディスプレイがあり、そこに入口で渡されたリストバンドをタッチします。するとそこにロッカーナンバーが表示されます。そのロッカーに行くと扉が開いています。そこで服を脱ぎバスタオルで場内へと進みます。

 そうです。ここは水着ではありません。更衣室は男女別ではありますが、浴場内はすべて男女混合なのです。

中央の温泉プール
写真1 中央の温泉プール

 浴場側へ出ますと3層吹き抜けの一番下のフロアに出ました。地下から地上が見上げられるといった感じです。なんとなく密林のイメージであちらこちらから鳥の泣き声が聞こえてきます。地上の方へ向かって階段を上がっていきます。地上フロアまで上がるとやっと全体像が見えてきました。

 中央に温泉プール(写真1)があります。それを取り囲むようにいくつものサウナの入口があるようですが、岩や木で見え隠れしています。またいろいろな方向へと行く道もあります。どこがどうなっているのか、冒険する気分です。インディージョーンズの世界です。ただ、浴場内にいる人たちは、みんな裸かバスローブ、バスタオル姿です。

サウナ、サウナ、サウナ!

 部屋を一つ一つ確認して入っていきます。一人用のバイブラバスが3つと足湯エリアの場所から右まわりにサウナ探検です。

オスマンティウムサウナ
写真2 オスマンティウムサウナ

 1つ目は山小屋風のドライサウナです。ドイツにしては小さく15人程度が入れるものです。次はオスマンスティームサウナ(写真2)です。湿度は80~90%程度で温度は40℃くらいです。2人用のベンチが4つありその奥にシャワー、さらにその奥にクールバイブラバスまであります。このようなスティームサウナ室は体験したことがありません。面白い発想です。

 右に回って行くと外部につながるプールがありますが、それを過ぎると別のスティームサウナがあります。扉を開けて入るとちょっとびっくりします。焼き物で作られた人魚がいます(写真3)。とても暗いスティームサウナで隣の人もよくわからないくらいです。ペパーミントの香りがとても良い感じです。出入口前には5~6人入れるバイブラバスもあります。更に回っていきます。

サウナ内の人魚像 写真3 スティームサウナ内
テピダリウム 写真4 テピダリウム

 次は1階が低温ドライサウナ、2階がラコニウム(ローマ浴室)地下がアロマミストルームです。アップダウンが各所にありどの部屋がどのレベルにあるかはいつまでたっても理解できません。さらに進んで行くと(外周をくるっと回っている)今度は階段があり、ちょっと別のエリアに行くようです。

 3階を上りきって右手を見るとテピダリウム(温気浴室)です。この部屋は広々とした空間に温熱ベッドが15~16並んでいます(写真4)。室温は38℃と、ここの施設の中では一番低い温度の部屋です。しかし、この部屋に入りベッドに横たわっていると「超気持ちいい!」のです。ほとんど体温に近い室温に裸体でいるととてもリラックスできるのです。ドイツではこの温度域の部屋は免疫体系を強化でき健康にとてもよいと言われています。また、古代ローマ浴場では、王様がリラックスできるこの部屋の中で政治的決断を行ったとか、哲学者が議論を闘わせたとか言われます。

 一方左手にはハマムがあります。ハマムでは併設されているスティームサウナであらかじめ身体を温めておき、その後ハマムマッサージルームでソープマッサージ(写真5)を受けます。これまた極楽です。日本でよくある韓国式アカスリとは、ちょっと違いふわふわの泡だらけにされ、温かなお湯をかけられたり、冷水をかけられたり、筋肉マッサージをされたりと様々です。ドイツのマッサージの中では一押しのトリートメントメニューです。ぜひ一度体験を。その先には中東風の休息エリア(写真6)があります。

ハマムのソープマッサージ 写真5 ハマムマッサージ
休息エリア 写真6 休息エリア

一息いれて、まだまだサウナ!

 階段下まで戻りますとレストランがあります(写真7)。施設の全体を見渡せる場所にあります。セルフサービスですので好きなものを自分でとります。レストランでビールを飲み、サウナでカラカラになった喉を潤します。

 また先へ進みます。

 今度は大きなフィンランドサウナです。50名は十分に入れます。ここではアウフグース(※)を行っています。アウフグースが終わって大量発汗した人のために、出入口付近に冷水アトラクションシャワーとアイスファウンテン(氷)があります。さらにもう一つ大型フィンランドサウナが続きます。

 先ほどのフィンランドサウナは2段式で横広の部屋ですが、こちらは高低差があるタイプのフィンランドサウナで一番高いところで横たわるとかなりの高温です。しかしここのサウナは最高です。それもそのはず、このサウナは「木の宝石」といわれる「ケーロ」材を丸太で使用しているのです(写真8)。あたりのやわらかな熱が全身を包んでくれます。このケーロ熱を体感すると麻薬的で、これをまた味わいたくなってしまいます。

※アウフグース…
サウナで行う約15分のイベント。ストーブの焼けた石にアロマを希釈した水をかけ、一瞬にして立ち上る蒸気をスタッフがバスタオルで仰ぐ。熱風による発汗と香りを楽しむドイツでは一般的で人気のサウナイベント。

レストラン 写真7 レストラン
ケーロ材をふんだんに使用したフィンランドサウナ 写真8 フィンランドサウナ

 これで屋内一周です。しかしこれで終わりではありません。

 このフィンランドサウナの上部にはシャイな女性のために女性専用ゾーンがあり、ドライサウナ、ローズスティームサウナ(写真9)、休息エリアなどがあります。

 まだ続きます。

 今度は屋外露天エリアに出てみます。屋内と屋外が連通している温泉があり、お湯の中から外へ出ます。屋内中央にある浴槽が25℃であるのに対して約40℃と温かい浴槽です。日本的に言うと露天風呂です。寝湯バイブラがあったり、床ジェットがあったりと楽しく過ごせます。その横に巨大なケーロのログキャビンサウナがあります。天高は約4mはあろうかと思われます。

 アウフグース人気はすさまじくおそらく50人以上が一度に楽しめます。天高で十分な空間があるので酸欠になることもなく快適なアウフグースが行われます。その横にはシャワーコーナー、超冷水浴槽(おそらく10℃)、休息エリア(写真10)と広がります。

女性専用ローズスティームサウナ 写真9 ローズスティームサウナ
屋外の休息エリア 写真10 屋外休息エリア

規格外の巨大レジャー空間

 まだまだ、あります。別棟があり露天エリアからすると地下3階までサウナと休息エリアがあります。緑に囲まれた休息エリア、水晶サウナ、スティームサウナ、アイスルームと続きます。一周しただけで約2時間かかります。これでゆっくりとサウナ浴を楽しんでいると4時間でも足りません。本当にすごい施設です。

 1995年にオープン以来、ドイツ国内でも不動の人気を誇っていますが、もちろん現代のニーズに合わせた改良は日々加えられており、トリートメントエリアも充実しています。一般的な施術系マッサージトリートメントはスエディッシュ、リンパマッサージ、アーユルベーダ、ホットストーン、カンタオ、ロミロミ、リフレクソロジー、チベット、レイキ、クンダリーニとそろっています。その他、プライベートスパがあり、アルペンスパ、オリエンタルスパなど、貸切でサウナ、バイブラ、トリートメント、マッサージが行えるスパスイートがあり、とてもリッチな時間を過ごすことができます。

 サウナ、温泉、スパと楽しみ、さらにミュージカル、カジノ、レストランと遊びつくせません。本当にうらやましいです。ここに住みたくなってしまいます。(写真11)

施設案内図
写真11 シュバーベンクベレン全容

著者:粟井英一郎

著者紹介:

1954年生まれ 岡山県出身 テルマリウム株式会社 代表取締役
1981年よりドイツセラミックプールの輸入施工の会社勤務、東京体育館プールなど国内数十か所のプール建設に携わる。1988年スパ温浴施設の企画会社サニタス総合研究所の設立に参加。1994年テルマリウム株式会社に社名変更。その間、全国の温浴施設の企画コンサルティング設計施工に携わる。

主な施工実績

「かんなべ高原ゆとろぎ」「津山グラスハウス」「舞浜ユーラシア」「韓国釜山スパランド」「ペニンシュラ東京」「シャングリラ東京」など国内外数十か所。