エリシウム

気になる色っぽさ

 インターネットで探し物をしていて、ふと目に止まったページがありました。

 ドイツを中心とする大型温浴施設は、みんなある一つのデザインの方向性があり、何となくこんなデザインというのがあります。

 一つはテーマ型。例えば地中海をイメージしたもの、日本をイメージしたもの、中東をイメージしたもの、古代ローマをイメージしたものなどです。これは民間施設に多くみられます。

 もう一つは清潔デザイン型です。施設はどこから見ても清潔感があり、洗練されたデザインのものです。

 前者は面白く楽しく気分を盛り上げてくれます。後者は気持ちよく安心感いっぱいで使うことができます。どちらもそれぞれの満足感があり、うまく自分の施設の特徴を表現して利用者にアピールしています。しかし、例の目に止まった施設はそれとは印象が違ったのです。

 何か謎めいていてそしてエキゾチックで高級そうで色っぽい感もあります。どこまで凝っているのだろうとすごく興味が湧いてきました。デザインに凝っているということは内容も凝っているに違いありません。そう思ったら最後、いてもたってもいられません。早速視察体験に行くことにしました。住所を調べるとなんとドイツではなくオランダです。ロッテルダムの郊外です。フランクフルトからロッテルダムまではドイツ新幹線と在来線を乗り継ぎ電車で約5時間です。さらにロッテルダムからタクシーで30分走ります。

 辺りはオランダ独特のかわいらしいショートケーキハウスが並びお約束のピカピカの窓にレースのカーテンと花飾りが各家に誇らしげです。オランダの家は不思議ですけれど中が見えてしまいます。美しい家の中を見て欲しいと言っているようです。そのうちに家が無くなり田園地帯に入って来ました。何もありません。こんなところに本当にあるの?といった不安がつのります。やがてタクシーは止まりました。

 月曜日の午後というのに、駐車場は満車状態です。施設は入口と2階建ての建物しか見えません。その大きさが把握できないのですが、こんなにたくさん人が来ているの?ほんと?といった感があります。それにしても周りには何も無くポツンとあります。

 中に入るとホームページの印象と同じく高級デイスパといったデザインのイメージです。カウンターにはステキな美女が6~7人いて対応に追われています。いで立ちも高級スパのそれと見劣りしません。話は脱線しますが、今回オランダ女性の美しいことに感激しました。本当にきれいな人ばかりといった印象です。受付に行くとスタッフが「水着持ってる?」と聞いてきました。今日は水着デーなのです。ということは、他の日は裸なのです。ドイツでは一般的ですが、やはりオランダでも裸が一般的なようです。逆にドイツでもオール裸の施設でもテキスタイルデーといって、水着着用の日を設ける施設が出てきています。またその逆で50m競泳プールを週に1日混浴全裸にする施設もあります。なんとヨーロッパは奥が深い!懐が深い!

いざ、施設内を探検

 受付をすませロッカーキーを受取り2階へ上がりました。かっこいいロッカーで水着に着替え再び1階へ降ります。全容はよくわかりませんが、入り組んだ通路に人があふれかえっています。それもほとんど若い女性ばかりです。

 まず、施設を探検です。右へ行ってみます。入り組んだ通路を進むとスティームサウナ、ドライサウナ、スティームバス、シャワーコーナー、バイブラバス、屋内ガーデン、屋内プール(写真1)と続きます。プールサイドにもジャグージ、シャワー、ドライサウナ、休息コーナー(写真2)と続きます。その先にはレストランがあります。これもかっこよくニューヨークスタイルとでも呼びたくなる感じです。レストランは外に続き、ガーデンレストランになっています。

屋内プール
写真1 屋内プール
格好良い休憩コーナー
写真2 格好良い休憩コーナー

 いったん引き返し、反対側に回ります。ちょっと奥まった木の装飾の扉を開けるとハマム(写真3)がありました。ホームページの写真にあったものです。黒い石で囲われた空間はインパクトがあります。中心の石台には10人ぐらいが寝そべっています。さらに高温のスティームサウナやバイブラバスそしてハマムマッサージの部屋があります。都心ならこれだけで一つの施設になりそうです。

 その前のエリアには少し大型の温水プールとジャグージ、大型ドライサウナ、があります。その横にはラッスール浴室が2室、そしてシャワーがあります。このラッスール浴室(泥パック室)はセルフで勝手に使えるようです。施設はどこまで続くのでしょうか?今度は屋外に出てみました。サウナ、サウナ、サウナ、サウナ!サウナが点在しています。そしてレストラン、休息室、冷水プール、ホットタブと続きます。屋外の休息エリアも広大です。

ハマム
写真5 ハマム
ケーロサウナ
写真4 ケーロサウナ

 さらに回り込んで行くと巨大なケーロサウナ(写真4)がありました。そのケーロサウナをびっしり人が取り巻いています。100人は下りません。何をしているかと思ったら、アウフグースの入場待ちなのです。えーっ!?こんなに入れるの?外はおそらく気温10℃以下でとても寒いのです。寒さに弱い日本人は中で待機して最後に入ることにしました。定時になり、並んでいた人たちがケーロサウナに入っていきます。どんどん入っていきます。しかし、無情にも30人ぐらいを残して満員御礼となりました。70人が定員だそうです。70人でもびっくりです。今回のアウフグースはあきらめて他の大型サウナに行ってみました。しかし、ここでもアウフグース待ちの列でいっぱいです。再びあきらめて小さなサウナに入りました。

これぞスパ・リゾート

 ここの各サウナは大きな2つを除いてやや小ぶりです。しかしどのサウナ、ジャグージも若い女性でいっぱいです。気後れしてしまいます。こんなに人の多い施設に入ったのは初めてです。また、こんなにたくさんのサウナ、バス、プールも初めてです。何と、トータルで86アイテムあるのです。ギネス級でしょう。

 シャワーもあちこちにあるのですが、スクラブ用の塩が数種類おいてあり利用者は自分で全身スクラブしています。身体を洗浄するシャワーではなく、美容シャワーとでも言いたくなるものです。シャワーでさえ目的の一つになっています。

 2階ロッカーコーナーに帰るとその奥が休息コーナーとバーラウンジになっています。これもニューヨークスタイルです。トリートメント用個室もこの階に数室あります。

 利用者は一日いてもあきることはありません。いや、一日ゆっくりと過ごすために来ているようです。そういう気で来なければもったいないと思います。これだけふんだんにあるサウナ、プールバス、リラックスできる自然環境(写真5)、屋外エリア、レストラン、バー、ラウンジ、マッサージ、トリートメント、何でもあります。そしてスタイリッシュなデザイン、都心から離れたリゾート感、すべて満たしてくれます。

 まさに日帰りリゾートの究極といった施設でした(写真6)。

屋外のケーロサウナ 写真5 屋外ケーロサウナ
圧巻の全体図 写真6 エリシウムの全体図

著者:粟井英一郎